日本経済新聞8月30日朝刊11面『食料危機で米農地が最高値 今年14.3%上昇』
広大な土地で効率的な農作業が行えるアメリカでの穀物生産が強化されれば、食料不足の懸念も緩和される可能性もあります。
一方投資家が農地購入してから生産が軌道に乗るまでは少し時間がかかり、即効性の効果はあまり期待できないため、それまでの間どうするかという短期的な対策も必要になってきそうです。
穀物に関する議論がかつてないほど活発になっています。
別の雑誌では、お米問屋の社長さんが「コメの値段が上がらないと、生産者は活動を継続できない」とコメントを寄せておられました。
安く仕入れて、消費者にも安く提供できる方が需要は増えそうなイメージです。
しかし現在の穀物を取り巻く環境においては、需要をどう拡大するかより、生産量の縮小をいかに食い止めるかが重要な課題になっているのかが、コメントより伺えます。
これまでも何度かご説明していますが、基本的に農作物の価格は相場制で需給バランスにより決定されます。需要 > 供給になれば価格は上がり、需要 < 供給になれば価格は下がる仕組みで、それはつまり生産者さんには価格決定権がないということを意味しています。
特に最近のように肥料代も燃料代も人件費も上がっている状況で、生産した農作物の価格が下がってしまっていれば、生産者さんも生活が出来なくなってしまいます。
そんな状況が続けば、農業がさらに衰退していくのは火を見るよりも明らかです。
これまでも農業を取り巻く環境は年々厳しくなっていましたが、今年のウクライナ侵略を受けてさらに大きく変化してきました。ひとつの転換点を迎えているような気がします。
「これまでの農作物の世界では、出来たものを必要な時に必要な分だけ購入する」ことが当たり前で、さらに相場が安くなればラッキーという状況だったかもしれませんが、今はそうではないと思います。
「自分たちの必要な分を事前に申し込んで、生産者さんに作ってもらう」ようにしないと、あらゆる農作物が入手できない時代に片足を突っ込んでいるのかもしれません。