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『大豆ミール、高騰止まらず 7~9月14%高(日本経済新聞8月24日朝刊17面)』

2022年8月24日  ブログ『新聞記事から読み解く』  , , , , ,

日本経済新聞 8月24日朝刊17面『大豆ミール、高騰止まらず 7~9月14%高』

大豆に関する報道を最近よく見かける気がします。

大豆ミール(大豆から大豆油を抽出したあとの製品で、主に家畜飼料として使われる)が数か月間で14%もの価格高騰。
その原因は主な要因は円安ですが、文中に『作付けは10月に本格化するため天候次第で状況が悪化する懸念もある。』とあるように、世界的な供給不安も背景にあります。
この状況が改善されるには、少し時間がかかりそうですね。

この内容から「小豆の面積が増えにくい要因が強くなったな」と私は感じました
その背景には、国から出る大豆への補助金の存在があります。

実は豆類の中で大豆にだけ国から生産者さんに対して補助金が出ています。
これは「1反あたり〇〇円」と、作付面積に対して交付されます。
つまり生産量に関わらず生産者さんの手取りが増えることになりますので、この点だけでも生産者さん目線で小豆や金時と比較して大豆の優位性が高いとも言えます。

(ちなみに生産者さんが大豆を好まれる理由は他にもあります。それは『大豆の育てやすさ』です。雨や風の影響を受けにくく、他の豆類と比較して天候に収穫量が左右されにくい特長を持ちます。また雑草の手入れを丁寧にしなくても大きく生育するため手間がかからないので好まれています。さらにさらに地域によっては、生産者さんは播種(種まき)だけしてくれたら、あとの収穫などは農協がやるという場所もありますので、大豆は選ばれやすいということです)

とはいっても、小豆ももっと面積を増やしたい状況にありますので、小豆にも補助金を出してくれたらいいのに…?と思うのですが、なかなか小豆に補助金が出るという話は聞こえてきません。

よく聞く理由は、『最終製品としてどのようなものになるか』で差があるという点です。大豆は煮豆や水煮だけでなく納豆やお豆腐、醬油や味噌に加工されます。また加工時に発生する搾りカスは飼料となり、畜産に繋がっていきます。いわば食の中でも「生活必需品」のように考えられています。
一方小豆はというと、主にお菓子用途で使われているので、「嗜好品」のような立ち位置にいるのです。
国としてお金をばらまく訳にはいかないので、優先順位をつけなければなりません。
その結果として日常の食生活を支えている大豆に補助金を出す体制が近年続いているというわけです。

国からの補助金が継続されるかどうかは3年ごとに見直しが行われるのですが、最近の大豆に関する需要と供給のバランスを見ていると、次の3年も継続になるのではないかという雰囲気です。
もちろん継続されるかは確定ではありません。ただもし継続となれば、大豆優位の状況は変わらず、小豆をはじめとした豆類の作付面積は大豆に奪われかねないと予想できます。

今年の北海道は局地的な大雨や突発的な風が多い傾向の天気のようです。
大手亡や金時がその影響を受けている一方、大豆の生育には特に問題がないと産地から伝わってきています。やはり、大豆は他の豆類と比べて強いのだと改めて感じます。

小豆の需要はコロナ禍のどん底を抜け出したことに加え、海外産の小豆も入手しにくくなっている影響で上昇傾向にあります。一方でその需要を支える北海道の小豆の面積はなかなか増えない傾向がしばらく続きそうです。
もしそんな中でかつてのように台風が3つも行ったら…?
先日青森県を襲った線状降水帯が十勝地域で停滞したら…?

私たちはそのような最悪のシナリオを常に頭の中に描いています。
結果としてその最悪のシナリオが起こらなかったらもちろんそれで良いです。
ただやはり安定供給を第一の使命としている豆の専門店として無策で万が一に臨むのは、会社の存在意義がないと笑われてしまう気がします。そのために、念には念をということで。

個人的には、食べる人を笑顔にする「お菓子」「餡子」「小豆」は豊かな暮らしの生活必需品であり、心の栄養分だと思っています。お菓子屋さんに美味しいお菓子づくりに集中してもらうために、私たちはしっかりと安定供給の務めを果たしていこうと考えています。

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