
日本経済新聞9月8日朝刊『新潟コシヒカリ12%高 3年ぶり上昇』
収穫が進むこの時期になると、新物の価格についての話題が増えてきます。
作柄によって価格が上下することは毎年のことなのですが、今年は例年と様相が異なる気がします。それは「生産コストの上昇」という新たなファクターの存在があるからです。
農作物の価格は「需給バランス」がどうかで決められます。
需要 > 供給であれば価格は上がり、需要 < 供給であれば価格は下がる特性があるのですが、今年はこれに加えて「生産コストの上昇」という新たな要因が価格決定に影響を及ぼすと考えられます。
この新聞記事の内容を参考にしたいと思います。
新潟県産コシヒカリは古米(昨年以前に収穫されたお米)の在庫も大量にあり、コロナの影響で消費も振るわない状況ですので、需給バランスだけで判断すると需要 < 供給になりますので、今年の新米の価格は下がるはずです。
しかし実際は12%アップと大幅な値上げに踏み切っているのは、生産コストの上昇が生産者さんに与える影響が小さくないと判断した結果なのでだと推測できます。
実際、弊社にも一部豆類や栗などの新物価格の連絡が入ってきていますが、生産コストが上昇しているためという理由で価格を改定される産地・品目もあります。需給バランスだけを見れば今年値上げする必要はなさそうに感じるのに、です。
それほどウクライナ侵攻や円安などが原因とされる生産コストの上昇は、農作物の「再生産」に大きなマイナスのインパクトを及ぼしかねないと産地は考えているのだと思います。
産地側としては今年の値決めはとても難しいと思います。
需給バランスという短期的な視点と、再生産という長期的な視点の2つをバランスよく調整しながら決めなければいけないからです。
問屋としては当然、値上げは極力避けたいです。
しかし今回のような農業の将来に繋がりかねない状況だと、ある程度は許容していかないといけないのかなと思います。来年も再来年も再生産して農作物を作ってもらわないと、私たち問屋もその先のメーカーさんも商売することができませんので…。