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お豆専門店NOTE『#4 今さら聞けない!大納言小豆の由来と特長』

2022年8月26日  ブログ『お豆専門店NOTE』  , ,

こんにちは!お豆専門店 市川商店の市川です!

多くの和菓子屋さんが粒餡用原料として使用されている「大納言小豆」。
一般的な小豆と比べて丸々とした粒の形状が印象的ですよね。
メジャーな原材料である大納言小豆ですが、実は知られていない特長があります。

お豆専門店NOTEの今回は、「今さら聞けない!大納言小豆の由来と特長」と題して名前の由来や特長をご紹介していきたいと思います。

名前の由来■

まずは「大納言小豆」という名前の由来から。
(結構有名な由来ですので、聞いたことのある方も多いかもしれません。)

こちらはずばり、「腹の切れにくさ(皮の破けにくさ)」から由来しています。

小豆に水を吸わせて、火をかけお鍋で煮ていると、朱色の皮が破れて中身の「呉(ご)」が出てきてしまいます。この小豆の皮が破れることを、腹が切れると表現します。昔の日本では貴族の中に様々な役職があり、そのひとつの名称が「大納言」でした。『枕草子』で有名な清少納言より上の位ですね。
その大納言という役職についた貴族は何かあっても切腹の対象にならず、腹を切らないとの意味合いが大納言小豆の名前の由来になったと言われております。

つまり、大納言小豆は熱で加工しても皮が破けにくい特長が名前の由来になっています

主な用途■

大納言小豆は腹切れしにくい特徴から、粒餡の他にはかのこ豆や甘納豆など「形が残ること」が大切な製品の原料として重宝されています。皮切れしてしまうと、見た目が悪くなってしまいますからね。

あとはおぜんざいなど、ある程度粒感が重視されるお菓子に使われたりしています。

■北海大納言の品種について■

現在流通している北海大納言は9割が『とよみ』という品種になり、その最大の特長は大粒になりやすいことです。

少し前までは『アカネ』という品種がメインで、大きさの規格も「2.0分上(約6㎜)」が一般的だったのですが、その後品種改良され誕生したとよみは「2.3分上(約6.9㎜)」の規格も発生するほどの大粒傾向の品種でした。

大粒になる=生産量が増えることになりますので、とよみ品種の誕生後は、そちらに切り替える生産者さんが多く、現在の北海大納言はとよみメインになりました。

(和菓子屋さんから、「アカネの方が味も風味も美味しかったよね~!」というお声をよく聞きます。使い手さん視点での味・風味の評価はアカネのほうが高かったようです。)

北海大納言と丹波大納言の違い

大納言小豆の生産量が最も多いのは北海道で、その地で生育したものは「北海大納言」と呼ばれています。また京都府や兵庫県のものは「丹波大納言」、岡山県のものは「備中大納言」と呼ばれています。

実は北海大納言と、本州で収穫された丹波大納言や備中大納言では少し違いがあると言われています。
(※諸説…というか感覚の話なので、個人差あり)

それは「皮の破けにくさの要因」です。

北海大納言の皮が破けにくい要因は「皮そのものの分厚さ」で、丹波大納言や備中大納言の皮が破けにくい要因は「皮の持つ粘り」と言われ、この違いはそれぞれを餡子にしたときに表れます。

北海大納言は皮そのものが分厚いため餡子にして食べた時に、皮が口に残りやすいと言われます。
一方の丹波大納言や備中大納言の皮の厚さは一般的な小豆と変わりません。皮が持つ粘りも口に入れて歯や舌に触れた時に無くなり皮が溶けてしまうため、餡子にして食べた時の口触りも良いとされています。

■最後に■

『今さら聞けない!大納言小豆の由来と特長』と題し、名前の由来から主な用途、産地による特徴の違いをご紹介させていただきましたが、いかがでしょうか。

大納言小豆とひと言で言っても本当に奥の深い世界で、産地や品種によって細かく異なってくるため、正直今回の説明だけでまったく網羅できておりません。

でもなんとなくでも「当たり前のように北海大納言を使っていたけど、他の産地のものも見てみたいな」と、大納言小豆の可能性に気付いていただけるきっかけになれば嬉しいです。

※(『北海大納言は皮が口に残るから良くない』と言っているわけではもちろんありません!北海大納言には、北海大納言の良さがもちろんあります。ただ、一般的な傾向を把握された上で使いわけられるのも、お菓子の向上に繋がると思いましたので、ご紹介させていただいた次第です。汗)

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